いつまでも若く健康でありたいとは誰もが思うことです。
しかし、現実は悲しいもので、年を取るにつれて体は動かなくなり、ケガが治りにくくなったり、病気などにかかることが増えてくるものです。
日常生活が困難になって、自分の家で生活するのも大変になってしまったなんてこともあります。
老人ホームと聞くと、高齢化により介護が必要になって、しかたなく入居するというイメージがあるかと思いますが、最近では動けるうちに、元気なうちに施設を利用する方々も増えています。
都市部の施設を利用することにより、今まで不便に感じていた買い物などが便利になるなどメリットを感じている方も多くいらっしゃいます。
一人寂しく自宅で生活をするよりも、介護施設などを活用して仲間とコミュニケーションを取ることで楽しみを感じている高齢者も少なくありません。
また、受け入れる側の介護施設のサービスも非常に多様化してきていて、ただ介護をするだけの施設ではなくなってきています。
そういったことから、介護が必要な方から、元気ではあるが健康管理や安否管理の面から施設を利用する方など利用者の種類が多様になってきています。
介護施設の印象や利用方法もひと昔前と違い、ずいぶん変わってきています。
利用者の多様化に伴い、施設も多様化が進んできているということですね。
今はまだ興味がなくても、早い段階から介護施設について知っておくことは、これからの生活において選択肢が広がるなどプラスになる場面もあるかと思います。
また、元気なうちに夫婦や家族で今後の事を話し合う、良いきっかけになるのではないでしょうか。
ここでは、高齢者介護施設にはどういったものがあるのかを簡単ではありますが、施設ごとの特徴を上げながら紹介したいと思います。
有料老人ホーム
有料老人ホームには大きく分けて3つの種類があります。
介護付有料老人ホーム
食事や入浴、排せつなど日常の生活において介護が必要な方が対象となる施設です。
受け入れる施設によって違いますが、認知症や医療的行為などが必要な場合においても入居が可能な場合もあります。
ほとんどが民間の企業が運営しているので、サービスの内容や居室のグレードや設備の充実度、さらに立地条件などにより、老人ホームごとに料金の設定がされています。
入りやすい料金設定をする施設から、入居一時金が数億円に上る施設までさまざまです。
施設によっては、食事の内容や医師による健康管理サービスなどで差別化を図るところもあります。
中には、介護を必要としなし方も入居できる混合型と呼ばれる施設もあり、将来に介護が必要になった場合でも、生活環境の変化が生まれません。
夫婦で入居する場合、例えば一方だけが要介護状態である状態であっても、混合型であれば入居することが可能となっています。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは基本的に自立が可能な高齢者が対象となっています。
万が一、要介護度が高くなってしまい、介護サービスを受ける必要性が生じた場合においても、通所介護や訪問介護など外部の介護支援を受けることが可能です。
また、入居中に利用したい介護サービスを自由に選ぶことができますので、ご自身の介護状態に合ったサービスを受けることができます。
ただし、入居後に病気やケガなどでより重度の介護が必要となった場合は退去する必要が生じる場合があります。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、生活の自立ができていて介護を必要としない高齢者が利用するための施設です。
建物内には他の居住者とコミュニケーションが取れる施設などが完備されていて、一人暮らしへの不安軽減や食事配給サービスなどによる家事負担が軽減されるなどのメリットがあります。
他の施設とは違い介護サービスは受けられませんが、トレーニングジムやスパなどの設備が充実している施設が多くあります。
あくまでも健康であることが条件となりますので、入居中に要介護となった場合には退去しなければなりません。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は公共型施設で、病院と自宅の中間的な施設として位置づけられています。
利用者が通常の生活ができるまで回復することを目的に、専門スタッフによるリハビリテーションが行われます。
入院するほどではないが、家にもどって暮らすことには不安を感じる方にはおすすめとなる施設です。
介護老人保健施設には医師や看護師が常勤していますので、リハビリテーションや医療行為などのサービスが受けることが出来ます。
そうしたことから、自宅での暮らしへの準備期間として利用したり、希望の老人ホームが見つかるまでの居住空間として活用されることが多いようです。
入居できる対象者は、原則的には65歳以上の要介護度1以上となっています。
また、伝染病や長期入院などを必要としないことなどが条件にありますが、施設によって条件が異なりますので確認が必要です。
生活復帰が目標となりますので、リハビリテーションを目的とする専門スタッフがいるほか、介護スタッフや医師などの福祉に関わる専門家が揃っているので料金は若干高めとなっているようです。
利用期間については、3カ月毎に行われる会議において決定することが義務付けられています。
施設によっては差がありますが、3カ月から半年ぐらいでの退去を勧めてくる施設が多いようです。
近年では、医療スタッフが充実していることから、延命治療は希望していないものの、医療を続けながら最期まで看取ってほしい人が利用することも多くなっています。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、自治体か社会福祉法人などの公的機関が運営母体となっていて、自宅において日常生活を送ることが困難な要介護度が高い方でも利用することができます。
施設に入居できる条件として、要介護度3以上の認定が必要で、認知症などで要介護状態になった方などが食事や排泄などの日常生活を送るための介護サービスを受けることができます。
また、多くの施設では長期利用が可能となっていますので、最期を看取ってもらうまで利用を希望する方も少なくありません。
さらに、ショートステイを利用すれば、家族や介護サポートスタッフが不在になっている期間だけ施設に宿泊することもできます。
他の介護施設に比べると費用が抑えられているため、利用希望者が多く入居までに時間がかかります。
また、特別養護老人ホームは古い施設が多く、2人部屋か4人部屋が中心となっていて、個室が希望の場合は空き部屋を確保できるまでに時間がかかる場合も少なくありません。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、そのほとんどが医療法人を運営母体としているため、最も医療が充実している施設と言えます。
医療施設のためリハビリテーションや十分な医療行為を受けられるので、介護度が高い人向けの介護施設となっています。
医療体制は、入居者100人に対して医師が3人常勤するよう義務付けられています。
さらに、入居者6人に対して看護職員と介護職員をそれぞれ1人以上配置することが義務付けられています。
部屋については、病院と同様に相部屋が多く、介護以外にも医師や看護師による医療行為や看護ケアなどが受けられます。
そうした中、厚生労働省は2020年までに介護療養型医療施設を廃止することを打ち出しています。
そのため、新規で介護療養型医療施設を設置することは現在、認可されていません。
現在ではほかの老人介護施設に転換を図っている施設なども多く、もし入居を考えているようであれば、今後の施設方針などを聞いておくとよいでしょう。
一概に高齢者介護施設といっても、数多くの種類があり施設ごとの特徴やサービス内容などに違いがあることが分かったと思います。
介護施設を選ぶ際には、利用にかかる費用で選んだり、立地条件だけで選ぶのではなく、サービス内容や自分の生活や健康状態にあった施設を妥協することなく探すことが重要です。
施設を選ぶ際には資料請求などをして内容を十分に吟味するだけではなく、施設によっては見学会や体験宿泊などを行っている場合もありますので、夫婦や家族と一緒に積極的に参加してみるのもよいのではないでしょうか。